相続には一次相続と二次相続があることをご存知でしょうか?
相続の事を考えたり相続対策をする方の中には、二次相続のことまで考えてない方も多いです。
しかし、二次相続のことまで考えて行わなければ、税金面で損をしてしまったり、相続トラブルが起こったりしてしまう可能性があります。
二次相続という言葉はあまり聞きなれない言葉だと思いますが、今回は一次相続と二次相続の違いや、二次相続の注意点など説明していきます。
一次相続と二次相続の違い
一般的に相続は両親が亡くなったときに発生します。
つまり、父と母それぞれが亡くなった時に相続が起きるということです。
仮に父が先に亡くなり、その後は母が亡くなったとしましょう。
母より先に父が亡くなった場合に発生する相続を一次相続といいます。
その後、母が亡くなった時に発生する相続のことを二次相続といいます。
一度目の相続なので一次相続、二度目の相続なので二次相続ということですね。
一次相続と二次相続では、相続人の構成に違いが現れます。
一次相続では相続人は配偶者と子供になります。
二次相続では、もうすでに配偶者が亡くなっているので、相続人は子供となります。
一次相続と二次相続では、遺産を分配する相続人が変わってくるということです。
二次相続の注意点
では、二次相続では、どんなことに注意しなければならないのでしょうか?
二次相続で注意すべき点は、主に以下の3つです。
- 相続税の基礎控除
- 配偶者控除
- 小規模宅地の特例
相続税の申告の際に基礎控除というものがあります。
相続税の基礎控除の計算方法は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となるので、相続人が多ければ多いほど、控除される額が多くなります。
つまり、一次相続よりも二次相続の方が相続人が減る確率が高いので、基礎控除の額が少なくなるということです。
また、「配偶者控除」を適用する際も気をつけなければなりません。
「配偶者控除」は配偶者が相続した相続財産のうち「1億6千万円まで、もしくは法定相続分までは相続税がかからない」という制度ですが、配偶者がいなければ使うことはできません。
つまり、二次相続では使えない制度になります。
一次相続の際に、配偶者控除を使い配偶者に1億6千万円相続させたとしても、配偶者が亡くなった時に1億6千万円に対して相続税が課税されることとなります。
この相続税を払わなければならないのは、残された子供達になるのです。
また、「小規模宅地の特例」にも気をつけておかなければなりません。
「小規模宅地の特例」とは、亡くなった方の自宅不動産に引き続き住み続ける相続人がいる場合、その自宅不動産の土地の評価額を80%減額することのできる制度です。
仮に1億円の家を持っていたとすると、この制度を適用すれば評価額を2,000万円にまで下げることができます。
しかし、同居していた親族がいる場合は適用されますが、子供が親元を離れて暮らしていた場合は適用することができません。
つまり、2次相続の際には「小規模宅地の特例」を使えない可能性があるということです。
相続はトータルで考えることが大事
上記のように、基礎控除の額が少なくなったり、配偶者控除を適用することができなかったり、小規模宅地の特例を適用することができなかったりと、一次相続よりも二次相続の方が相続税を多く納めなければならない可能性が高いです。
そのため、相続では一次相続と二次相続の事をトータルで考えて遺産分割しなければなりません。
二次相続の際に税金を納めるのは、亡くなった方や配偶者でなく残された子供達です。
二次相続の際に、兄弟仲が悪かったり、相続税を納める現金がない場合はトラブルが起こる可能性も十分に考えられます。
二次相続の事も考えて遺産分割を行うには、しっかりとしたシミュレーションが必要なので、不安がある方は専門家に相談してみましょう。