R60歳時記:八十八夜

コラム

2020年5月1日は八十八夜。

「夏も近づく八十八夜〜♪」という文部省唱歌で知られていますね。どんな日であるのか、どんな由来があるのかを調べてみました。

八十八夜とは


八十八夜は季節の変わり目をあらわす「雑節」のひとつで、立春から数えて八十八日目のこと。

5月2日が多いのですが、今年は閏(うるう)年のため、1日早い5月1日が八十八夜にあたります。

「八十八夜の別れ霜」という言葉もあるように、地域にもよりますが霜が降りることがぐっと減り、春から初夏に近づいてくる季節です。

八十八=米?農業との深い関わり


八十八夜を境に気候が安定し暖かくなるため、農家ではさまざまな農作業を開始する日になることも多いのだそう。内容は地域によって変わりますが、霜除けのワラやよしずを外す、稲の種まきや田植えをする、茶摘みを始めるなど、色々な節目にあたるといいます。

また「八十八」という文字を縦に並べると「米」の字になるため、米を作る農家にとっては特に大切な日とされています。

八十八夜は古くからあると言っても、現代社会では何か特別なことをしたり、季節の移り変わりを実感したりする日ではないかもしれません。

しかし今なお農業に関わる人にとっては、八十八夜を境に暮らしが変わる、重要な時。農耕民族である日本人にとって、昔から大切にされてきた節目なのですね。

八十八夜と言えば、新茶

冒頭で紹介した「夏も近づく八十八夜〜♪」の歌のタイトルは「茶摘み」。八十八夜といえば茶摘み、という人も多いでしょう。

かすりの着物に赤いたすきをかけた娘さんたちがカゴをかついで茶畑を歩く、そんな風景が目に浮かびます。

新茶の茶摘みは、九州では4月下旬ごろから始まち、八十八夜の頃には関西方面まで北上していることが多いようです。

「八十八夜に摘んだお茶を飲むと長生きできる」という言い伝えもありますね。

新茶はその年の新芽を摘んで作るお茶のことで、一番茶とも呼ばれています。
冬の寒さに耐えてたっぷり蓄えた養分がぎゅっと詰まった新芽は、栄養が豊富なのだそう。旨みや甘みのもとである「テアニン」が多い一方で、苦み・渋みを作る「カテキン」や「カフェイン」が少なめなのも特徴です。新茶は、おいしくて体に良いお茶なのです。

そろそろ新茶のおいしい季節。古来日本人がさまざまな農作業の節目にしてきた八十八夜に思いを巡らせながら、ほんのり甘くフレッシュな香りが広がる新茶を楽しんでみませんか。

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