2020年の「土用の丑の日」は7月21日と8月2日。
土用の丑の日には鰻屋さんへ食事に行ったり、スーパーで鰻を買ったりして食べるという人も多いでしょう。
今日のコラムは、そんな土用の丑の日について。
どのような日なのか、なぜ鰻を食べる風習があるのかについて、ひもといてみましょう。
「土用の丑の日」とは
土用の丑の日は、実は夏だけのものではありません。
「土用」は季節の変わり目を表す雑節のひとつ。立春、立夏、立秋、立冬の直前の約18日間ずつの期間です。
一般的には土用の丑の日というと夏のイメージが強いのですが、実際には「土用」は1年に4回あるということですね。
そして「土用の丑の日」は土用期間中の丑の日のこと。「丑」は十二支の丑を表します。現代では十二支は年を表すものというイメージですが、古くは時刻、方角などにも当てはめられていました。
日付にも十二支があるため、丑の日は12日に一度の頻度で回ってきます。
したがって年に4回、18日感ずつある土用期間の「丑の日」は、年間を通じて6〜7日ほどあります。
【2020年の土用の丑の日】
1月23日、4月16日、4月28日、7月21日、8月2日、10月25日、11月6日
【2021年の土用の丑の日】
1月17日、1月29日、4月23日、7月28日、8月1日、10月20日、11月1日
なぜ鰻を食べるのか
鰻は古来、日本人に食されてきました。古くは奈良時代、万葉集の大伴家持の歌(巻16‐3853)にも、夏痩せした友人に鰻を食べるよう勧める旨が詠まれています。当時は「むなぎ」と呼ばれていました。
実際に鰻にはビタミンA、ビタミンB1・B2、ビタミンD、ビタミンEが含まれています。亜鉛やカルシウムなどのミネラルがあるほか、DHA、EPAも豊富に含まれています。栄養価の高いものを食べて夏を乗り切る、先人たちの知恵があるのかもしれません。
ただし万葉集の時代には、決まった日に鰻を食する習慣は見られません。土用の丑の日に鰻を食べる風習が広まったのは、江戸時代後期、19世紀になってからだと言われています。
平賀源内のプロモーションによって広まった?!
なぜ土用の丑の日に鰻を食べる習慣ができたのか。由来は諸説ありますが、もっとも有名なのは平賀源内(1728〜1780)が広めたとされる説でしょう。
それまで夏にはあまり人気のなかった鰻をどうにか売りたい、ととある鰻屋からの相談を受け、丑の日に鰻を食べれば夏バテしないとアピールすることを思いついた平賀源内。「本日丑の日」などと店先に貼り出して、大々的に宣伝したというものです。
平賀源内は「エレキテル」などを作った発明家や本草学の人として知られていますが、優れた広告宣伝マンでもあったのですね。平賀源内が日本初のコピーライターなどと呼ばれているのは、このためです。
天然・養殖を問わず、近年ウナギの供給量は減っていると言われます。昔に比べて、スーパーで売っている鰻の蒲焼もずいぶん高くなったと感じますよね。
庶民としては鰻がこれ以上高級品になってしまうと辛いものがありますが、栄養価の高い鰻で夏を乗り切るのは古くからの伝統。
季節を感じ、夏バテを防ぐためにも美味しい鰻を食べたいですね!