話題になった「老後資金2000万円問題」、実際どうなの?

お役立ち情報 コラム

昨年の夏ごろ、大いに世間を騒がせた「老後資金2,000万円問題」。
発端となったのは、2019年6月3日に出された金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書でした。
年金のみの無職世帯では30年で約2,000万円の老後資金が必要とされていました。

2,000万円というのは、なかなかインパクトのある数字です。2,000万円問題が報じられるようになって以降、老後資金に不安を感じる人が多くなりました。
公的年金では不足する部分をどのように準備したら良いのか、そして本当に2,000万円もの大金を用意しなければならないのか、とても気になる問題です。

2,000万円もの大金、退職金で準備できる?

老後資金の原資としてよく話題にされるのが「退職金」です。会社員生活が長い人であれば、退職金には期待できるかもしれません。

それでも、退職金制度のあるなしや金額の算出方法は会社によってさまざまです。

直近で退職した上司や先輩に聞いても正確な金額は教えてもらえない可能性もありますし、自分も同じような金額がもらえるとは限りません。

就業規則などの規定を確認するか、管理部門の担当者に聞いてみると良いでしょう。

ライフスタイルによって、必要な老後資金は変わります

2,000万円と一口に言っても、そもそも必要な金額はライフスタイルによって大きく変わってきます。

住居費用だけでも、持ち家か賃貸か、それとも高齢者施設に入居するのか。

賃貸であれば、老後もずっと家賃を払い続ける必要があります。すでに築年数の古い物件を借りている場合は、取り壊しや建て替えなどで引越しが必要になる可能性もあります。

持ち家であれば住宅ローンが残っているかどうか、どの程度リフォームや修繕を行うかによってかかる金額は変わります。

移動手段として車を持つのか。どのくらいの価格帯の車で、何台買い換えるのか。

車を持たない場合は、公共交通機関だけではなくタクシー、場合によっては車椅子などで利用できる福祉タクシーも利用するかもしれません。

また、子供や孫へどのくらい援助するかも考えておきましょう。

結婚資金や住宅資金、教育費などはまとまった金額を援助する可能性が高いので、あらかじめ予算を立てておきたい事項です。

もっとも不確定な要素は「何歳まで生きるのか」

さらに、何歳まで生きるかによっても、必要な金額の合計は変わってきます。特に大きな出費がなくても、長く生きるほど日々の生活費の総計は大きくなります。

たとえ「公的年金+年間◯◯万円ほどほしい」というところまで細かく計算できたとしても、必要となる年数は寿命によって変わリます。

必要な老後資金の総額を正確に算出することは、誰にもできないのです。

人生100年時代をどう生きるか

「人生100年時代」と言われます。
昭和の頃には、55歳や60歳で引退して老後は10数年、ということも多かったかもしれません。一方で2018年の日本人の平均寿命は女性で87.32歳、男性では81.25歳

必ずしも現役時代の家計の延長で逃げ切れる、という時代ではなくなってきています。

老後対策を自分なりに考えておかなくてはなりません。

できるだけ長く働くのも選択肢のひとつ。
ひたすら貯蓄を切り崩すのではなく、多少のリスクを取りながら運用していくというのもひとつの方法です。

また何よりも、健康でいることも大切です。高額な医療費や介護費用がかかるようでは、老後の生活費はふくらむ一方でしょう。

R60では、これからも老後資金について少しずつ考え、発信していきたいと思います。
「2,000万円が必要!」とやみくもに不安になる必要はありませんが、自分にあった方法で老後資金を考えていきたいものですね。

 

※2020年4月現在の情報です。最新の法律・条例・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。

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