亡くなった方の財産を、誰がどのように受け継ぐかという話し合いを遺産分割協議といいます。
協議した内容をもとに作成するのが、今回のお話である「遺産分割協議書」です。
しかし実は、この「遺産分割協議書」は必ず作成しなければならないというわけではないのです。
また、「遺産分割協議書」は専門家に頼まなくても自分で作成してもよいのです。
遺産分割協議書を作成したほうが良い理由
「作らなくてもいいのなら面倒だし、別にいいかな」と思ってしまいますが、わざわざでも作る大きなメリットは相続手続きがスムーズになるのです。
不動産などの相続登記や、銀行預金の払い戻し、名義変更などで遺産分割協議書が必要となる場合があり、遺産分割協議後のトラブルを防ぐためにも、遺産分割協議書を証拠として残しておいた方が良いです。
遺産分割協議の内容を証拠として残しておかなければ、話し合った内容通りに相続財産が引き継がれていなくとも文句が言えなくなってしまいます。
そのため、相続人同士で話し合いがこじれた場合や、後々のトラブルが予見される場合などは遺産分割協議書を作成しておいたほうが不要なトラブルを回避できます。
なお、相続人が1人しかいないなど、財産を受け継ぐ人が確定している場合は、遺産分割協議を行う必要がないので遺産分割協議書の作成は必要ありません。
遺産分割協議書を自分で作成する場合
「遺産分割協議書って自分で作成できるの?」と思っている方も多いと思いますが自分で作成できます。
実は遺産分割協議書はフォーマットが決まっていません。
そのため、手書きでもパソコンでも自由に作成することができるのです。
しかし、フォーマットが決まっていないがために、適切な遺産分割協議書を作成するにはある程度の知識が必要です。
亡くなった方のどの財産が誰に相続されるのか、ということをしっかりと特定することができなければ、遺産分割協議書として意味がありません。
「この土地を長男が相続する」と住所を書くだけでは、一体何の資産を相続するのか特定することができません。
土地を特定させる場合は、「所在」「地番」「地目」「地積」を明記しなくてはならないのです。
貯金や株式の場合も「お父さんの通帳と株式は長男が相続する」を書くだけでは特定することができません。
通帳や株式の情報と照らし合わせて、銀行名や支店名はもちろん、口座番号、口座名義、株式の場合は銘柄や証券会社名など、正確に情報を特定しなければなりません。
相続人全員の署名・押印が遺産分割協議書には必要
亡くなった方のどの財産を誰に相続するのか明記しただけでは遺産分割協議書は完成しません。
遺産分割協議書には、亡くなった方の名前と死亡年月日と最後の住所地を記載しなければならないのです。
そして、相続人全員の住所と名前、全員の実印が必要となります。
相続人全員の住所と名前を記載し、実印を押印することで、やっと遺産分割協議書の完成です。
遺産分割協議書の作成は、ある程度知識があれば自分でも行うことができますが、面倒だと思う方は専門家に頼んだ方が良いでしょう。