R60歳時記:お彼岸(おひがん)

コラム

9月も半ばになり、朝晩などすっかり涼しくなってきました。
昔から「暑さ寒さも彼岸まで」などと言いますが、実感できる言葉ですね。

さて、今日のR60歳時記はその「お彼岸」。

知っているようで知らないお彼岸について調べてみました。

お彼岸とは

彼岸(ひがん)は雑節の一つ。1年に2回あります。

春分と秋分を中日(ちゅうにち)とし、前後各3日を合わせた各7日間を指します。合わせて1年に14日間ある計算です。

節分やお正月のように、特別に何かを準備したり飾り付けを行ったりする習慣はあまりありませんが、一般的には中日の前後にお墓参りに行く習慣があります。

2020年の秋分の日9月22日(火・祝)ですので、秋のお彼岸は9月19日(土)から9月25日(金)までの7日間になります。

9月19日が「彼岸の入り」、25日が「彼岸明け」という日程になりますね。

お彼岸にお墓参りをする理由

なぜお彼岸にお墓参りをする習慣が生まれたのか、明確には分かっていません。主な説を2つご紹介しましょう。

・西方浄土説

春分の日・秋分の日には太陽が真西に沈みます。このため、仏教の世界観にある「西にある極楽の世界を拝める日」と考えられ、浄土につながる日としてお墓参りをするようになったとする説があります。

・中道思想説

中道とは、「何事にも偏りを持たない」という、仏教で大切なされる考え方。
春分の日・秋分の日は、昼と夜が同じ長さになるため「中道の思想」にも合うとされ、お墓参りを行うのに適しているとされたとする説です。

季節の花はヒガンバナ

お彼岸と言えばヒガンバナを思い出す人も多いかもしれません。
ヒガンバナは中国原産の花で、別名を曼珠沙華(まんじゅしゃげ)とも言います。

ちょうど秋のお彼岸の頃に赤い花を咲かせることから、ヒガンバナと呼ばれています。
そのほかにも地域ごとにさまざまな呼び名があり、葬式花や狐花などの別名も。

田んぼのあぜや河川敷などに群生しているのがよく見られる花ですが、熊本県内では山鹿市の「番所の棚田」がヒガンバナの名所として知られています。

写真は2018年に撮影したもの。毎年ちょうどお彼岸の頃に、一気に見頃を迎えます。

【番所の棚田】

熊本県山鹿市菊鹿町矢谷752

 

お彼岸の行事と食べ物

お彼岸に食すものと言えば、何といっても「おはぎ」。
お墓や仏壇、神棚へおはぎをお供えした後、家族でいただくのはお彼岸の楽しみのひとつです。

おはぎも地域によってさまざまですが、春のお彼岸にはこしあんを使った「ぼたもち」、秋のお彼岸にはつぶあんの「おはぎ」という使い分けが一般的です。

ぼたもちは「牡丹」、おはぎは「萩」に由来しており、どちらも季節の花にちなんでいます。

おはぎ(ぼたもち)をお供えする理由には諸説ありますが、魔除けとして食されてきたという考えが有力です。

古来、小豆の赤色に魔除けの効果があると信じられ、邪気を払うために使われていたと言われています。お祝いの席にお赤飯を炊くのもこの考えによるもの。

お彼岸では小豆あんに「魔除け」の意味を、そして中のお餅(米)に「五穀豊穣」の意味を込めたおはぎを作り、ご先祖様への祈りとともに家内安全を願ってお供えするようになったといわれています。

季節の変わり目でもある「お彼岸」。
ご先祖様に感謝しつつ、家族の健康を祈る日として大切にしたいものですね。

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