R60歳時記:中秋の名月

コラム

お月見シーズンになりました。夏が終わり、すっかり涼しくなった夜に美しい月を眺めるのは、秋の楽しみのひとつです。

そんなお月見に関連して、「中秋の名月」について調べてみました。由来や風習のほか、2020年の中秋の名月の日付も確認しておきましょう!

中秋の名月とは

旧暦8月15日の月を「中秋の名月」として愛でる習慣があります。「十五夜」とも言いますね。

もともと十五夜は旧暦八月十五日を限定した言葉ではなく、旧暦の毎月十五日の夜を表します。

満月そのものは1年に12回ないし13回ありますが、中でも8月15日が特別な存在になったのは、中秋の名月が特に美しいとされたためです。

月の位置は夏に低く、冬に高くなります。見上げるのにちょうど良く、美しい空の景色になるのが春か秋。

かすみの出やすい春に比べ、秋は空気が澄んでいることが多いことから、お月見のベストシーズンと考えられました。

2020年の中秋の名月はいつ?

お月見は毎年9月下旬ごろのイメージがありますが、2020年(令和2年)の中秋の名月は10月1日です。

と言っても、10月1日は実は満月ではありません。十五夜と満月は必ずしも一致しないのです。

十五夜は「新月の日を1日目とした場合の15日目の夜」のこと。月の軌道は楕円形で、新月から満月までは平均すると約14.8日ですから、少しずつズレが生じます。

今年は10月2日の午前6時に満月を迎えますから、十五夜の中秋の名月は満月の少しだけ手前の状態ですね。

肉眼ではほぼ満月として鑑賞できそうですが、実はそんなタイムラグがあるのです。

なお、2022年までの十五夜と満月の日付は次のようになっています。

十五夜(中秋の名月) 満月
2020年 10月1日(木) 10月2日(金)
2021年 9月21日(火) 9月21日(火)
2022年 9月10日(土) 9月10日(土)

中秋の名月に食べるもの

中秋の名月に食べるものと言えば、お月見団子。

十五夜にちなんで15個のお団子を用意します。白い紙を敷いた三方にピラミッド状に乗せてお供えするのが定番ですね。

隣にススキなどを飾ると良いでしょう。

ススキは稲を模したものとされるほか、魔除けの意味もあると言います。

お供えしたお団子は、皆で美味しくいただきましょう。地域によっては、白いお団子ではなく小豆あん入りのお餅を食べることもあるようです。

中華圏では「中秋節」

中秋の名月は、もともと古代中国から日本へ伝わったもの。

現在の中華圏では「中秋節」として祝います。月を愛でながら、地域によってはランタンを飛ばすことも。

日本でいうお月見団子のように、中秋節に欠かせない存在が「月餅(げっぺい)」。

満月に見立てた月餅を贈り合い、家族そろって食べる習慣があります。

欠けている部分のない丸い形(=満月)は縁起が良いことから、家族の健康や繁栄を願う意味が込められているのです。

日本の中華街などでも、9月から10月ごろには普段以上にたくさんの月餅が売られています。

穏やかに月を見上げる時間

そのほか、日本と同様に古代中国の影響を受けた地域では、中秋の名月にさまざまな習慣が残っています。

韓国では中秋節のことを「秋夕(チュソク)」として祝うほか、ベトナムでも獅子舞などがでるお祭りとして現在も中秋節があります。

また、アメリカでは秋分の日に近い満月のことを「収穫の月」という意味で「Harvest moon(ハーヴェスト・ムーン)」と呼びます。

異なる文化でも、この時期の月は特別な意味を持っていたのかもしれません。

穏やかな秋の夜に、美しい月を愛でる。家族の幸せと健康を願う。古くから受け継がれて来た風習を、私たちも大切にしたいですね。

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