熊本市北区植木、田原坂のほど近くにある「不動山 平等寺」。
熊本では珍しい華厳宗(けごんしゅう)のお寺で、さまざまな修行体験ができます。
コロナ以前は職場の研修などの団体や、海外から訪れる人も多かったと言います。現在は静かに修行したいと個人で訪れる人が多いため、落ち着いて修行に取り組めます。
今回は滝行と写経を体験するとともに、住職にお話を伺いました。
華厳宗とは
華厳宗は奈良の東大寺を大本山とする宗派。中国が発祥で、8世紀前半に日本へ伝えられました。
現代の私たちにはあまりなじみのない、南都六宗(三論・成実・法相・倶舎・華厳・律)の1つです。
南都六宗は宗派と言っても教義が対立するようなものではなく、互いに教義を学び合う学派といった性質のもの。奈良時代に平城京を中心に栄え、のちの鎌倉仏教の発展にも大きな影響を与えました。
若き弘法大師空海も東大寺に学んでいますから、華厳宗は日本の仏教の礎とも言えるでしょう。
平等寺の修行体験
平等寺では、本堂にて読経・滝行・写経・坐禅・作務・法話・発声法(挨拶の作法)などの修行体験ができます。
かかる費用は下記の通り。
一日修行体験 9,000円(高校生以下 7,000円)
滝行のみ 3,000円
写経のみ 2,000円
まずは写経だけに訪れることも可能です。
修行体験の様子
今回は滝行から体験させていただきました。
「龍の滝」で行われる滝行は「ふんどしまたは行衣をまとい滝に打たれ、無我の中で自分自身を見つめる修行」です。
天然の水が流れる滝で身を清め、心を鍛えます。作法や入り方などはすべて住職の指導があります。
住職が唱える般若心経に合わせ、およそ5分間に渡って滝に打たれます。冬は身を刺すような痛みがありますが、今回は真夏。
雑念をはらい、心が洗われるような体験です。
滝行で身を清めたあとは、写経を体験させていただきました。なぞり書きできるため、初めてでも大丈夫です。
般若心経が基本ですが、上の写真のような短いお経も。文字が上手か下手かは関係ありません。一文字ずつお経を写すうちに、心が穏やかになってきます。
修行体験はすべて事前予約制です。ホームページなどで詳しい内容を確認して、電話で予約しましょう。
宗派に関わらず、修行に行けるお寺
修行について、蠣原 法勝(かきはら ほうしょう)住職にお話を伺いました。
「ご自身または家の宗派に関わらず、滝行や写経をやってみたい、お寺での修行を体験してみたい人はどなたでも歓迎いたします。
お経などが分からなくても大丈夫ですから、身構えずにお越しください。
不安なことが多い時代だからこそ、修行をする中で自分を見つめ直したり、あらゆるものへの感謝の気持ちを持ったりするきっかけになればと思います。」
とのことでした。
本来、仏教はとても身近なもの。難しく考えずに、親しむ機会があるのはありがたいことですね。
写経のみならば季節に関わらず気軽に行けそうですし、物腰のやわらかい住職の話を聞く中で日常の細々した雑念を忘れ、静かな気持ちになれそうです。
写経や滝行などの修行をしてみたいという人は、不動山 平等寺で体験してみませんか。
華厳宗 不動山 平等寺(けごんしゅう ふどうさん びょうどうじ)
所在地:〒861-0165 熊本市北区植木町平原725
電話:096-274-0111(修行体験は要予約)
平等寺公式サイト: http://byoudouji.com