成年後見人の種類は、法定後見人と任意後見人の2種類があるとお話ししましたね。
↓「詳しく知りたい!」という方は、下記の記事をぜひご参照くださいませ。
2つの違いは、任意後見人は後見人を自由に選ぶことができ、法定後見人は家庭裁判所が後見人を選ぶことになるということでした。
ともに共通するのは「後見人」となる人を選ばなくてはいけないという点。
とはいえ、聞きなじみのないその後見人になるためには、資格は必要となるのか気になるところですよね?
また、どういった人が後見人に選ばれるのでしょうか?詳しく見てみましょう。
成年後見人に資格は必要ない
「成年後見人」と聞くとなんだか難しいイメージがあるので、資格のようなものが必要になるのではないかと思う方も多いですよね?
実は、法定後見人の場合も、任意後見人の場合も後見人になるための国家資格のようなものはありません。
しかし、欠格事由というものがあります。
次のうちいずれかひとつでも該当する方は、成年後見人になることができないとされています。
- 未成年者
- 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
- 破産者
- 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
- 行方の知れない者
つまり、未成年者や破産者、行方がわからない人は成年後見人になることができません。
「家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人」というのは、家庭裁判所の判断で親権や財産の管理権の喪失の宣告を受けた者や、保佐人や補助人を解任された者のことをいいます。
保佐人や補助人は法定後見人の中の類型で、保佐人や補助人を解任されたものは成年後見人になることができません。
「被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族」というのは、後見を受ける本人に対して訴訟をした父母や祖母、子供や孫のことをいいます。
訴訟をしたということは利害関係が一致しないということになるので、後見人になることができません。
成年後見人はどのように選任される?
では成年後見人はどのようにして選ばれるのでしょうか?
任意後見人は本人が自由に選ぶことができます。
そのため、子供や親族などといった信頼できる人物や、財産の管理方法などに詳しい人物を選ぶ方が多いですね。
法定後見人は家庭裁判所によって選任されます。
本人が「この人を後見人を選んで欲しい」というような、成年後見人の候補を立てることはできます。
しかし、希望どおりになるとは限りません。
実際に成年後見人に選ばれる人は、法律関係に詳しい弁護士や司法書士などの第三者が多いです。
選任されるのは弁護士や司法書士が多い
弁護士や司法書士が成年後見人に選任される理由としては、本人の財産を守るためには法律の知識が必要だからです。
そのため、親族間に意見の対立がある場合や、財産が大きい場合、賃料収入や事業収入がある場合など、何か問題が起こるリスクが高いと判断される時は弁護士や司法書士が選ばれる可能性が高くなるのです。
また、本人の身の回りのお世話や介護が必要な場合は、社会福祉士などの専門家が選ばれることもあります。
2018年に選任された成年後見は、親族が23.2%、親族以外が76.8%となっています。
このようなデータを見ると、親族以外の第三者が成年後見人として選ばれる方が確立が高いですね。
しかし、第三者に自分の財産を全て任せるのは不安が大きい場合もありますよね?
そのため、2019年に厚生労働省で開催された専門家会議で「成年後見人は親族が望ましい」とする考えが表明されました。
このことにより今後は、「本人の希望が通りやすくなる」などの変化がみられるかもしれませんね。