7月7日は七夕(たなばた)です。
七夕は端午の節句などと同じ五節句のひとつ。中国・韓国・台湾・ベトナムなどでも節句(節日)とされています。
日本では、明治6年に五節句が廃止されるまでは旧暦の7月7日が七夕でしたが、現在では新暦(グレゴリオ暦)の7月7日に神事や祭、さまざまな行事が行われています。
七夕の起源は中国大陸
七夕の発祥は古代の中国です。織女と牽牛の伝説はとても古く、初出は「文選」。漢の時代に編纂された「古詩十九首」とされています。
その後、5〜6世紀ごろの南北朝時代には、織女と牽牛が7月7日の夜に会うという現代まで続く伝説が固まってきたようです。
女性たちは織女にならい針仕事が上達するようにと願って、針に美しい糸を通し、捧げ物を飾るなどしたという記録も残っています。
日本では
中国の行事であった七夕(しちせき)が日本に伝わったのは奈良時代ごろ。
日本にもともとあった、神様に捧げる織物を織る乙女・棚機津女(タナバタツメ)の伝説が、中国の七夕(しちせき)と結びつくことで「たなばた」と呼ばれるようになったと考えられます。
万葉集の巻10にも、七夕に関する歌がおさめられています。日本でもかなり古い歴史があると言えますね。
七夕飾り、短冊の書き方
現在のように、願い事を書いた短冊を笹に飾る風習ができたのは江戸時代のこと。
中国の陰陽五行説にちなみ、「木(青または緑)・火(赤)・土(黄)・金(白)・水(黒または紫)」の5色の短冊を使います。
五行説は儒教で説く5つの徳目・五徳(ごとく)を表しているとも言われます。仁・義・礼・智・信です。
そのため、それぞれの短冊には五徳に対応する事柄を書くと良いでしょう。
色 | 五徳 | 願いごと |
青(緑) |
仁 |
徳を積む・人間力を高める→成長に関する願いごと |
白 | 義 |
義務や決まり事を守る→決まり・規則を守り、達成する願いごと |
赤 | 礼 |
父母や祖先への感謝→親や先祖に感謝する事柄 |
紫(黒) | 智 |
学業・学問の向上→学業成就に関する願いごと |
黄 | 信 |
信頼、知人・友人を大切にする→人間関係に関する願いごと |
短冊に願いごとを書こうとしている孫にも、こういった由来を話してあげたいですね。
家庭では笹を使った七夕飾りが一般的ですが、全国的には、大きな飾り物をずらりと並べる七夕祭りもあります。
商店街にきらびやかな七夕飾りが並ぶ、仙台の七夕まつりなどが有名です。
こちらは旧暦に合わせ、8月6日〜8日に行われています。
旧暦の7月7日であれば梅雨明けもしていますから、織女と牽牛も天候に邪魔されることなく、空の上でゆっくりデートができそうですね。
空を見上げてみましょう
天の川を渡り、年に1度の逢瀬を楽しむとされる織女と牽牛。織女(織姫)にあたるのが、こと座のα星であるベガ。牽牛(彦星)にあたるのは、わし座のα星であるアルタイルです。
ベガとアルタイル、さらにはくちょう座のα星であるデネブを結ぶ巨大な三角形になることから、「夏の大三角」と呼ばれています。白鳥座は、織女と牽牛の橋渡しをするカササギを表しているのだとか。
夏の大三角は、日本では春からにかけて確認できますが、8月から9月ごろが最も見やすくなります。新暦の七夕は梅雨空でなかなか見えないことも多いのですが、雲がかかっていない晴天であれば確認できるでしょう。
七夕はロマンチックな古代の伝説。人々の願いをのせて、脈々と受け継がれて来ました。
七夕の夜には、星空を見上げてみませんか。