相続で揉める原因は?相続で揉める家族の特徴を紹介!

相続知識

「遺産相続で揉めるのはお金持ちだけ」と思っていませんか?実は、遺産分割調停事件の中の、約32%は1,000万円以下の遺産相続で争っているのです。
遺産の中には現金や貯金だけでなく、家や車なども含まれます。そうなるとほとんどの家庭で、遺産総額は1,000万円を超えてしまい、3人に1人は遺産相続で争っているということになります。
なぜこのように遺産相続でもめることが多いのでしょうか?遺産相続で揉める家族の特徴とはどのようなものなのでしょうか?

家族構成が複雑

遺産相続で揉める家族の特徴として、離婚や再婚などを繰り返し家族構成が複雑だということがあります。
現代では3組に1組の夫婦が離婚するといわれています。そういった複雑な家庭事情が遺産相続で揉める原因を作っているのです。
例えば、ある男性が結婚して息子をもうけましたが、離婚し息子は母親に引き取られました。その後、男性は別の女性と結婚し娘をもうけました。
男性が亡くなれば遺産を相続する権利は、前妻との息子、後妻、後妻との娘の3人になります。この場合、前妻との息子は、後妻と後妻との娘とは、相続が始まるまで面識がなかったということが多々あります。
前妻の息子は、今まで全く面識なかった相手と、遺産相続の話し合いをしなければならないので、トラブルに発展する可能性が非常に高くなるのです。

亡くなった方の世話をしていた人がいる

父親を早くに亡くし、母親と3人の息子がいたとします。1人の息子は老いた母親の世話をしていましたが、残り2人の息子は離れた地域に住んでおり、たまに顔を合わせる程度でした。
このような場合に、息子三人で遺産を平等に分けるのは少し不公平ではありませんか?
老いた母親の世話をしていた息子は、「自分は遺産を他の2人よりも多くもらって当たり前だ」と思うかもしれません。
母親の世話をしていた息子がそう思わなくても、その息子の奥さんが「世話をしていた労力と費用をもらうべきだ」と主張するかもしれません。
しかし、離れた地域に住んでいる息子2人からは「実家の近くに住んでいて、色々面倒を見てもらっていたのだから母親の世話をするぐらい当たり前だ。遺産は平等に分けるべきだ」という意見が出てくる可能性もあります。
3人の息子の意見はどれも間違っているとはいえません。間違っているといえないがゆえに、相続で揉める可能性が十分に出てくるのです。

遺産の多くが不動産

現金は1円単位で平等に分けることができます。しかし、不動産は分けることができませんよね?
ですので、現金が少なく、遺産の多くが不動産の家庭は相続で揉める可能性が高いです。
例えば、2人の息子の父親が亡くなったとします。母親はすでに他界していて、父親の遺産は、貯金が200万円と評価額が600万円の家のみで、家には長男がずっと住み続けていました。
民法の法定相続分では、長男と次男がそれぞれ遺産を2分の1ずつ、この場合は400万円ずつ受け取ることができます。
しかし、この状況考えると、次男が受け取れる遺産は貯金の200万円が最大となります。
どうしても遺産を平等に分けたいのであれば、家を売って次男に200万円渡すという方法もあります。また、長男に貯金があれば、その貯金の中から200万円を次男に渡すことができます。
しかし、長男に貯金がなく、家を売れば住むところがなくなるのであれば、そういったこともできません。 本来ならば受け取れるはずの200万円を次男が諦めれば、丸く収まりますが、そうでない場合は相続問題に発展します。
この場合は遺産総額800万円で揉めることになるので、相続問題は決してお金持ちだけの問題ではないということがわかりますよね?

生前に特定の人に多額の贈与をしていた

相続は、亡くなった人の財産をどのように分けるのかということが問題になります。
しかし、亡くなる前に特定の人に多額の贈与をしていた場合も問題となるケースが多いです。
例えば、2人の息子の父親が亡くなったとします。母親はすでに他界しており、父親は亡くなる前に実家の建物と土地2,000万円を長男に贈与しており、名義も変えていました。
父親の遺産には貯金が400万円あり、民法の法定相続分では、この貯金の400万円を息子2人で分けることになります。しかし、次男からすれば少し不公平に感じませんか?
「長男は実家の建物と土地2,000万円を貰っているのだから、貯金の400万円は全て次男が受けとるべきだ」と主張してよいはずです。
しかし、長男からすれば、「父親の遺産は貯金の400万円だけだから、貯金の400万円は2人で分けるべきだ」という主張をすることもできます。
この場合も、どちらの主張が間違っているということはいえません。それぞれの立場に立てば、それぞれ正しい主張をしています。
しかし、どちらかが自分の主張をあきらめない限り、相続の問題は解決しないのです。

遺言の内容が偏っている

相続で揉めないために、遺言を残しておこうと考えている方もいるはずです。しかし、その遺言が相続問題に発展してしまう恐れもあります。
例えば、2人の息子の父親が遺言を残して亡くなったとします。遺言には「自分の財産はすべて長男に譲る」と書いてありました。次男の立場からいえば不公平に思えますが、「父親がそう言っているのならば」と次男はその遺言に納得しました。
しかし、父親の財産が現金ではなく、不動産のみだった場合、 長男は相続税を自分の貯金から払わなければなりません。
不動産を売ってお金に変えることもできますが、相続税は亡くなってから10ヶ月以内に払わないといけないので、それまでにお金を用意できるかわかりません。
もしくは、父親には借金があり、マイナスの財産の方が多いという場合も考えられます。
このような場合は、長男が次男に「父親の財産は次男が受け継ぐべきだ」と主張するかもしれません。
遺言の効力は絶対でなく、相続人同士の話し合いにより変更することができます。話し合いで長男と次男の双方が納得できれば良いですが、納得できない場合は相続問題に発展してしまう恐れがあります。

相続で揉めないようにするためには?

相続でもめる原因としては上記のように、家族構成が複雑だ、亡くなった方の世話をしていた人がいる、遺産の内容がはっきり分からない、遺言の内容が偏っているなど、とても多くの原因があります。
上記の例を見ただけでも、どんなに少ない遺産でも、相続の問題が起こってしまうということが分かりますよね?
相続はお金持ちだけの問題でなく、それぞれの家族にそれぞれの相続問題を抱えています。
相続で揉めないようにするためには、遺産の内容をきちんと整理し遺言書に残しておくことが大切です。また、遺言書の内容も偏りすぎず、それぞれの相続人に配慮した内容にすべきです。

メルマガ登録でCRASの住宅雑誌をゲット!