「うちは兄弟の仲も良いし、親の相続でもめることはないだろう」
「相続税なんて、何億円もの資産があるお金持ちだけにかかる税金だから、うちには関係ない」
と思っていませんか。
その考えは、ちょっと危険かもしれません。
相続税がかかるのはごく一部の富裕層やお金持ちだけ、という時代は、残念ながら終わってしまいました。
また、たとえ家族や兄弟の仲が良くても、相続がスムーズに進まない可能性もあるのです。
いくら以上の資産があれば、相続税がかかる?
5,000万円+(1,000万円×法定相続人数)までの財産なら、相続税がかからないんでしょう?と思った人はいませんか。実はもう昔の話なんです。
2015年の税制改正により、相続税の基礎控除額はぐっと少なくなってしまいました。
新しい制度での基礎控除は「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」になっています。
この改正により、相続税がかかる対象者が増えています。
たとえば夫婦2人と子供2人世帯において、世帯主にもしものことがあった場合。
法定相続人(民法で定められた相続人)は配偶者と子供2人で合計3人です。改正前であれば
5,000万円+1,000万円×3=8,000万円
という計算で8,000万円の基礎控除がありました。改正後では
3,000万円+600万円×3=4,800万円
となります。4,800万円しか基礎控除が受けられない計算になるため、なんと4割もの縮小なんです。
資産と言っても自宅くらい、という人こそ要注意かも
また、資産の大半が持ち家の一戸建て住宅である場合は、相続税がかからなくても遺産の分割が難しい!という状況になりがちです。
それぞれの相続分に見合った現金などがないケースでは、自宅を売却して現金化し、相続人で分けることになってしまう可能性もあります。
大切な持ち家を手放すことなくスムーズに相続するためには、不動産だけでなく預貯金も残しておく、生前贈与をするなどの対策も必要になるかもしれません。
また、2015年の税制改正では、先にあげた起訴控除額の引下げのほか、相続税率の見直しや小規模宅地等の特例の範囲拡大など、他にもさまざまな変化がありました。
さらに2019年に行われた改正では、配偶者居住権の評価方法の新設や、空き家の譲渡所得に係る特別控除の要件見直しなどがなされました。
このように例示するだけでもややこしく、なにかと複雑なのが相続にまつわる税制です。
一般的に、相続はそれほど何度も経験するものではありませんよね。
税制改正により大きく変わる相続事情は、10年以上も昔に仕入れた知識ではとても太刀打ちできない!という可能性もあります。
複雑で分かりにくい上に、家族間でもなかなか話題にしづらいのが相続問題。R60では、そんな難しくてややこしい相続を、これから少しずつひもといていきたいと思います。
※2020年4月現在の情報です。最新の法律・条例・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。