今回の「活躍する60最前線」は、玉名郡南関町にある「石窯Pizza Kapok」のオーナー勝田寿寛さんです。
本格的な石窯で焼くピザが人気で、その食感はふわふわもちもちしており、県内はもとより県外からも多くのお客様が来店されます。
そんな「石窯Pizza Kapok」ですが、実は定年後に奥様と二人でお店を始めたということでお話をお聞きしました。
包丁すら握ったことのない本当にゼロからのスタート
県道3号線を荒尾方面から南関へ入ると「石窯Pizza Kapok」という看板が見えてきます。
その看板から右折し、山の方へと登っていくとウッド調の緑色のお店が見えてきます。
店内に入ると早速、オーナー勝田寿寛さんと奥様が出迎えてくれました。
ー来るときからも気になっていたのですが、何故こんな山の途中にお店を建てられたんですか?
勝田さん 実はこの店の裏手にあるのが自宅なんですよ。定年した後ぼーっと毎日を過ごしたくなかったので、何か始めようということでお店を開きました。たまたま、家の前にあったこの土地を買ったのが理由ですね。周りの方には絶対こんなところでは繁盛しないと言われたんですが、皆様のおかげで今でもお店を続けていくことができています。
ー本格的なピザ窯でピザを焼いてるとのことですが、以前も料理関係の仕事をしていたのですか?
勝田さん いえいえ。包丁すら握った事がありませんでした。本当にゼロからのスタートでしたね。定年後に奥さんと二人で相談してお店を始めることになり、本格的なピザ窯でピザを焼く店をしようと思ったんですよ。本格的なピザ窯でピザを焼けば、こんな田舎でも人が来てくれるかなと思ったのがきっかけです。
ーでは、お店を開こうと思ってからピザを作る練習を始めたんですか?
勝田さん そうですね。実はもう店のオープン日が決まってたにも関わらず、まだピザが作れない状態でした。そこから急いで、山鹿にあるピザ屋さんに修行しに行きました。全くの素人だったので、どんな業者さんから何を仕入れたらいいのかわからないことばかりでしたね。本当にピザ作りに関してはゼロから教わりました。
地元の素材をふんだんに使用したふわふわもちもちのピザ
ーかなりおいしそうなピザですが、素材にはどんなものを使用してるのですか?
勝田さん 素材はなるべく地元のものにこだわって使っています。卵は「玉名牧場」の新鮮な卵を、豚肉は山鹿にある「燻製工房 縁」から仕入れたものです。「玉名牧場」の卵の色は、普通の卵と違いレモン色なんです。これが「燻製工房 縁」の無添加の豚肉と非常に合うんですよ。卵のまろやかさが豚肉のジューシーさを引き立ててくれて、重すぎず後味もさっぱりしたピザになります。
ーそういったピザの技術も山鹿のピザ屋さんから教わったのですか?
勝田さん そうですね。あとは岐阜に住んでいるピザの世界大会3位の方と知り合う機会がありまして、その方がイタリアのピザの競技大会に出場するということで見に行ったんですよね。関係者ということでバックヤードで観戦することができ、競技大会に参加した人のピザを食べたり、どんな材料を使っているのかということも聞いたりすることができました。
ーなるほど。そういった経験が、今のこのピザに活きているわけですね。
勝田さん 本当にそういったご縁があってありがたいです。オープン当初はたくさんの失敗もありました。でも、支えてくれる皆様のおかげで今もこうして営業することができています。
奥様は「野菜ソムリエ」の資格を持つ
ーピザ以外にもバーニャカウダやスープなどおしゃれなメニューが並んでいますが、そういった野菜の仕入先もすべて教わったのですか?
勝田さん 実は野菜はなるべく自家製のものを使うようにしてるんです。自宅の庭に菜園を作っていてそこで野菜を育ててます。毎朝一番に採れた新鮮な野菜を提供するようにしていますね。
ーピザだけでなく、野菜もかなりこだわりがあるんですね。
勝田さん 奥さんが野菜ソムリエの資格を持っていて、野菜にはかなり詳しいんです。バーニャカウダにも自家製のゴーヤやレッドムーン、縞模様のビーツやアロエベラなど、なかなか普段では口に運ぶことのできない珍しい野菜を使用しています。自家栽培ならではの新鮮な野菜そのものの味を楽しんでもらいたいですね。
第3土曜日には夜の営業で音楽ライブも行っている
ー店内にピアノとカホンが置いてありますが、音楽などもされるのですか?
勝田さん はい、私がギターを奥さんがピアノを弾いています。「Kapok音楽隊」というものを結成して音楽活動も楽しんでいます。実は、私が演奏する場が欲しくてお店を開いたというのもあるんですよね。今はコロナウイルスの影響で自粛していますが、時期をみてまた再開したいですね。
ー「Kapok音楽隊」以外にもライブを行ったりするのですか?
勝田さん うちはアマチュアのアーティストを応援しているので、ライブをしたい方がいれば誰でも参加していただいてます。また、県外から有名なアーティストを呼んでライブを行ったりもしているんですよ。いろんな方の音楽を聴くのが楽しみなので、そうやってこれからも人生を楽しんでいきたいですね。
歳を取っても人生を楽しんでいたい
定年後に奥様と二人でお店をオープンし、人生を楽しんでいる勝田さんはまさにR60世代。
包丁すら握った事なかった勝田さんですが、その持ち前の行動力で定年後の道を自ら切り開いてます。
R60世代は「定年後何をしようか」、「新しい趣味を持つべきなのかな」と迷ってる方も多いと思いますが、勝田さんのように奥様と二人で新しいことを始めるのも素敵ですよね。
石窯Pizza Kapok
【所在地】玉名郡南関町宮尾340-4
【電話】0968-66-7011
【営業時間】11:00~15:00
【定休日】火曜日・水曜日