成年後見人の手続き方法は?裁判所に申し立てる流れを解説!

お役立ち情報

ご身内に認知症や知的障がいがある方にとって、気がかりなのが本人の財産管理や相続に関する問題です。

そこで重要になってくるのが「成年後見人」という制度。

昔でいうところの禁治産者・準禁治産者ですから、そちらの方が耳なじみがある方の方が多いのかもしれません。

認知症や知的障害があり、判断が不十分な方が法律行為をするためには成年後見人が必要となる場合があります。

亡くなった方の財産をどのように相続するのかという、遺産分割協議の場合にも相続人に認知症が知的障害の方がいる場合は成年後見人を立てなければなりません。

しかし、そもそも「成年後見人」の手続き方法はどのように行えばいいのでしょうか。

手続きの流れ等、詳しく見てみましょう。

そもそも成年後見人制度とは?

そもそも、成年後見人の制度が分からないという方も多いものです。

ではここで、1つ例を挙げてみてみましょう。配偶者が認知症になり、買い物で勝手に高額なローンを組んでしまったとしましょう。

家族としては「いやいやいや!!!認知症なんだから、勝手にローン契約した店側に問題あるでしょ!!」って言いたくなりますが、正直、初見のお客様が認知症であるかどうか判断をつけるのは非常に困難なものです。

また成人されている人が、契約をしているのですから何も違法行為でもありません。

早めに家族が気づけば、クーリングオフも使えますが、中には家族も気づかず「支払いが遅延していますよ」の通知で初めて知ることも珍しくありません。

そうなると相手のローン会社と交渉を行ったり非常に面倒なことにもなります。また連帯保証人になってしまう、そのようなことも決して珍しいことではありません。

本人の意思と関係ないところで、勝手に契約ができないようにする、また契約したとしても無効にしてもらう制度が「成年後見人制度」です。

成年後見人制度は2種類

成年後見人の制度には以下の2つがあります。

法定後見人制度 すでに判断能力が低下している人
任意後見人制度 今は元気だけど、将来的に判断能力が低下した場合に備える人

 

該当する人物が、すでに判断能力が低下している人は法定後見人制度、まだまだ元気な方は任意後見人制度と区別できます。

そのため「今はまだ元気だし、しっかりしているけども…」という事ならば、事前に任意後見人制度を活用し、残される家族の精神的負担を軽減できます。

種類によって手続きする場所が違う

先ほど「成年後見人には2種類が存在する」と話しましたが、実は手続きする場所も異なります。

種類 手続き場所
法定成年後見人制度 家庭裁判所
任意後見人制度 公証人役場

 

家庭裁判所はなんとなく想像がつくものの、問題は「公証人役場」です。

役場という文言から「市役所に行けばいいのかな」と想像してしまいますが、実際は市役所また役場では手続きできません。それとは別に「公証人役場」という各法務局が管轄している官公庁を指します。

熊本で言えば

熊本市中央区九品寺に存在します。

矢印がついているとこですね。法務局が管轄しているので、ご近所さんではあります。「任意後見人制度」を活用するのであれば、裁判所ではなく「公証人役場」だと覚えておきましょう。

法定成年後見人制度を利用するためには、家庭裁判所で手続きをしなければなりません。

家庭裁判によって、成年後見人が選ばれることとなります。

選ばれた成年後見人は、本人に代わって必要に応じて売買契約や、介護サービスの契約、遺産分割協議会への参加などの法律行為を行うことができるのです。

任意後見人制度は、公証人役場で公正証書によって作成しておく必要があります。

本人が元気な場合は何も起こりませんが、判断能力が低下した場合に家庭裁判所の判断により初めて効力が生じることとなります。 

成年後見人を申し立てる場合の手続きの流れ

それでは、成年後見人制度を申し立てる場合は、どのような流れになるのでしょうか?

成年後見人を申し立てる場合の手続きは、以下の4つのステップで行います。

  1. 必要書類を集める
  2. 申し立ての準備をする
  3. 裁判所で審理が行われる
  4. 審判確定後に登記が行われる

まずは、家庭裁判所に申し立てるための医師の診断書や住民票などの、必要書類を集めなければなりません。

その次に、家庭裁判所に申立の日程の予約を入れます。 

申し立ての際には、裁判所の管轄や後見人候補者などをしっかりと確認しておきましょう。

申し立てる裁判所の管轄は、本人の住民票がある裁判所となります。 

そして、予約の当日に裁判所に出向き、調査官の方と面接をします。

面接の際には、申立に至るまでの経緯や本人の状況、親族の方の意向などが聞かれますので、スムーズに受け答えができるようにあらかじめ内容をまとめておくとよいです。

その後、裁判所で審理が行われます。

審理の際には本人の意見を聞いたり、親族の意向を確認したり、本人の能力を医学的に判断するための鑑定などが行われます。

審理後に要件を満たしていると判断されると、 後見人候補者の中から最も最適だと思われる人物を後見人として選任します。 

裁判所から東京法務局へ審判内容の登記の依頼があり 登記が完了すると成年後見人などに登記番号が通知されます。

成年後見人を専門家に依頼する場合もある

成年後見人の申し立ては自分でもできますが、集める書類や申し立ての方法などが複雑なので、司法書士などの専門家の方にお願いする場合もあります。

また、法律的な公平性を保つために、司法書士や弁護士の方に成年後見人となることを依頼する場合もあります。 

専門家の方にお願いする場合は別途その費用も発生しますが、親族間でのトラブルが予測される場合などは、専門家の方に依頼したほうが安心できますよ。

それぞれのメリット・デメリットはまた次回。

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